「リーダーのためのリベラルアーツコース」セッションレポート
部長職以上の8割が必要だと考えている「リベラルアーツ」
その根本になる「日本」について見直す2日間で
参加者に変化がもたらされます
(※全6単位中第3単位についてのレポートです)
グローバル化・複雑化しているこの時代には、多様な価値観や背景を持っている人々と協力し合って、的確に判断を下し成果を出す…そのようなことがますます重要となります。
一方で、先行きが不透明であるからこそ、リーダーとして決断を下すことがより一層困難になっている側面もあります。各々が何に依拠し的確に判断をしていくべきか…その依拠すべき軸を確立するための一つの解が「リベラルアーツ」です。
事実、部長職以上の8割が「リベラルアーツが必要だ」と回答した調査によると、海外勤務や海外子会社とのコミュニケーションのために、管理職としてマネジメント業務をより円滑に進めるために、自分の限界を突破するために、既存のフレームワークだけでは行き詰まりを感じたために、「リベラルアーツを学ぼう」と思ったそうです。
グローバル人材育成にもリベラルアーツは必要
企業にとっても、グローバル人材を育成することは急務となっています。そのためにはリベラルアーツ教育が非常に肝要ではあるのですが、残念ながら日本の大学で行われているリベラルアーツ教育は、海外(特にアメリカ)で行われているそれとは異なるものになっていると言われます。
海外では多数の留学生と机を並べリベラルアーツ教育を学んでいく経験を通して自らのアイデンティティを確立させていく一方、日本ではそもそもの留学生の数が少ないために、自らの日本人としてのアイデンティティを確立させる機会が訪れないというのは、多くの識者が指摘しているところです。
アップル社の創業者スティーブ・ジョブズが、禅(zen)に傾倒したのは有名な話ですが、果たしてどれだけの日本人が、禅について説明できるでしょうか。もちろんそれをただの知識として持っているだけではなく、異なる文化的背景を持つ方に説明できることが重要であるということは、海外へ留学や赴任をしたり、海外のビジネスパーソンとコミュニケーションしたことのある方であれば、深く共感していただけることではないでしょうか。
ビジネスリーダーとしての素養を築く2日間の京都合宿
ここでは、リベラルアーツの一側面を理解いただくため、日本能率協会「リーダーのためのリベラルアーツコース~正解のない時代に求められる判断軸と人間的魅力をもったビジネスリーダーを育成する~」のプログラムの一部である京都合宿についてご紹介します。
本コースのねらいは、ただ知識を習得するだけではなく、自分との対話、講師との対話、参加者同士の対話、そしてフィールドワークで実際に見て感じることを通じて、ぶれないものの見方・考え方の軸をもち、歴史・世界を巨視的に捉え、信頼を集める人格的教養を修めることです。
これに基づき、本合宿では下記をテーマとしています。
- 日本文化:日本文化の原点は何か
- 日本人の価値観:日本人のアイデンティティとは
- 歴史観:私たちは何者か
思考の転換点となる2日間
宗教学者、評論家である、国際日本文化研究センター名誉教授 山折哲雄氏から「日本人と価値観」について貴重な講義を受けました。
山折氏の講義については、
- 漠然と“日本人の価値観”について考えていたことが、言葉として説明をうけ、納得した。
- 日本文化を世界から見て考える事が、重要で大切であることが分かった。
といったこれまでただ漠然と感じていたことが言葉として明瞭になったことがうかがえます。
その後、知恩院にて写経を行いましたが、
- 貴重な体験でした。
物事に集中する場を大切にしたい。 - 自分と向き合う時間であった。
止観することの大切さを知った。
というように、忙しい毎日の中ではついつい疎かにしがちな「自分と向き合う時間」を、有意義な形でとることができたという声がありました。
さらに2日目、石庭で有名な龍安寺では、
- シンプルな中で奥深い内容、静かに自分を見つめる時間が十分にあって良かったです。
- 答えのないものに考えを馳せることができた。
- 気づきの多い時間を過ごさせていただき、非常に有益でした。
- 自分自身の価値を少し見出せた気がした。
といったように、参加者自ら奥深い価値観を見出すことができたようです。
最後に、全体コーディネータであるCRT-JAPAN事務局長 石田 寛氏により、自己との対話やディスカッションを含めた2日間のまとめが行われました。
全体を通して、実際のビジネスや、自身の行動変革につながるような学びを得ている方が多かったのが印象的でした。
本セッションにおける参加者の満足度は非常に高く、
- 初日で自分と向きあい、二日目で他者から見た自分や視点の持ち方を学んだ。
- 未経験だったり、考えた事もなかった事を経験できました。
- 山折先生の講義の内容を始め、石庭の見学、写経など、新たな価値観・考え方を見つける良い機会になった。
- 現代の企業経営のあるべき姿を考える上で、共感しやすい概念であった。
- リベラルアーツを学ぶことの理由を理解したきっかけとなった。
- 改めて、日本人とは何か、どこから来たのか、どういう資質なのか深く考えさせられ、西洋との比較において、いろいろと気づきがあった。
- 自らの思考、行動を変える事が出来た。
というように、これまでとは異なる視点・視座で世界を見ることができるようになる転機となっています。
先の見えない時代だからこそ大切にすべき
リーダーのためのリベラルアーツを学べるコース
日本能率協会で開催している「リーダーのためのリベラルアーツコース」は、この京都合宿だけではなく、3ヶ月に渡り、哲学や宗教、社会、国際社会、人間観、大局観といったリーダーに必須の素養を育てることができる、そして自ら学び始めるきっかけを作ることができる実践的なプログラムです。
書籍やオンラインでのプログラムだけでは学べない「空気」を感じ「対話」をしていただくことができます。
少しでもご興味のある方は、事務局までお気軽にお問い合わせください。
追伸:
最後に「リーダーのためのリベラルアーツコース」全体コーディネータからのメッセージをご紹介します。
リベラルアーツを学ぶ意義、これについて少しお話しします。
ビジネスをしている時や物事の対応に困った時は、人との関係または仕事全体において、自分はいったんどこへ立ち返るべきか回帰すべき原点を知る、またそこから自分がどのように立ち直っていくべきか、視点を切替えたり立ち位置を変えたりしてみる、ということが必要になります。これができないと、いろいろ苦しむことが多くなります。
リベラルアーツというのは、こういったことを早く乗り越えるために、物事の本質を考える上でとても大切なものだと、私は思っています。ぜひ皆さんも、自分・他者・世界、というように視野を広げながら視座を高めてください。
世界から自分の立ち位置をどう捉え、どう振る舞っていくか、という意味において、リベラルアーツを学ぶことは非常に重要です。ご参加をお待ちしています。
「リーダーのためのリベラルアーツコース」全体コーディネータ
経済人コー円卓会議日本委員会 専務理事 事務局長 石田 寛 氏