挑戦する経営者のリーダー論 ~経営者コラム~

挑戦する経営者のリーダー論
日本レーザー 代表取締役会長 近藤 宣之 氏 第2回

こんどう・のぶゆき
1944年生まれ。慶応義塾大学工学部卒業後、日本電子株式会社入社。94年、子会社の株式会社日本レーザー代表取締役社長、2018年に同社代表取締役会長(CEO)に就任。第一回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の「中小企業庁長官賞」を受賞。著書に『社員に任せるから会社は進化する』(2018年、PHP研究所)、『社員を「大切にする」から黒字になる。「甘い」から赤字になる』(2018年、あさ出版)、『ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み』(2017年、ダイヤモンド社)、『ビジネスマンの君に伝えたい40のこと』(2012年、あさ出版)などがある。

「未踏の時代のリーダー論」(日本能率協会「編」:日本経済新聞出版社 出版より抜粋)

勇気ある選択が人も会社も成長させる
「進化する日本型経営」

債務超過に陥った子会社の経営再建を果たし、以降25年間、黒字経営を続ける。
経営者としての覚悟と決意はどこにあったのか。
組織の「自己組織化」をもたらすものは何か──。
そして日本レーザーが実現する「進化する日本型経営」とは何か。

ダイバーシティ経営に必須

現在、わが社の最高年齢社員は72歳、私自身は75歳です。1995年の再建中に、すでに70歳雇用を実現しました。60歳定年で退職金を支払い、再雇用65歳まで7.5時間勤務、65歳の再々雇用で7時間勤務、70歳からは自由に働ける高齢者雇用を制度化しました。いまは、80歳までの生涯雇用を検討しています。また、パートタイマー、嘱託社員も65歳まで働き、希望する社員は70歳まで働けます。勤務時間も一応の目安としていますが、正社員、フルタイムの嘱託社員を問わず、労働時間は自分で随時変更が可能なので、正社員でも7時間勤務は多数います。

高齢者社員は職務を限定した個別契約であり、60歳以後の嘱託契約社員でも、評価制度に基づく総合評価と指導面接を制度化。そのため基本的に好きな仕事、慣れた仕事を継続して、生涯誇りを持って働き続けられるのです。実質的に生涯雇用を保証されている安心感から、社員は会社に、業績に貢献してくれています。

ダイバーシティ経営のすごさは、社員が異なった文化を持ち、仕事への態度が異なる結果、日本人の社員に大きなインパクトを与えていることです。

例えば、日本で修士を取得した中国・蘇州出身の女性は、日本人が嫌がる個人の営業成績の公表を積極的に望み、社外研修を受けるにあたっては、わが社の経営陣に入ることを目指すと全社会議で公言しました。また大連出身で日本に帰化した別の中国人女性は、日本人名の「○○美希」と改名して退職後に日本人として米国に留学し、MBAを取って活躍するなど、内向き傾向の日本人社員は男女共に圧倒されました。活力ある経営風土を醸成するには、こうした外国人社員の貢献は実に大きなものだと実感します。

もちろん、わが社は女性の活躍推進も行われ、管理職、幹部の登用もすでに30%を超えました。年功序列的な定昇制度もなく、徹底してフェアな実力主義を実現しています。生き生きと活躍できる職場を実現したため、男女共に他社への転職のための離職率はこの10年余りほぼゼロになっています。

さらに、大手企業で生き甲斐を見つけられずに転職してきた社員も多数いますが、何でも言い合える職場のため、「自己実現の舞台としての企業」と実感しているようです。

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